' ?> 清水建設関東支店の BIM 活用/第 1 回 提案から受注まで<BR>Revit Architecture による迅速な提案で受注を優位に(オートデスク):サクセスストーリー
サクセスストーリー

清水建設関東支店の BIM 活用/第 1 回 提案から受注まで
Revit Architecture による迅速な提案で受注を優位に(オートデスク)

2011年07月06日

清水建設関東支店生産支援部 生産支援グループのグループ長、藤咲雅巳氏は建物の受注から設計、施工、そして保全活動に至る建設フェーズ全体の業務効率をBIMで改善することを計画しました。2010 年 4 月に支店内の設計者、施工者、協力会社とともに実務者 2 名のプロジェクトチームを結成し、小規模な事務所ビルを対象に柔軟な発想やスピード感を意識した BIM 活用を実践しました。その中心になったツールが Autodesk Revit Architecture などです。今回は施主への提案から受注に至るまでの過程を紹介します。

 shimizu_img01.jpg 清水建設関東支店
生産支援部 生産支援グループ
グループ長
藤咲 雅巳 氏

   Revit で受注前に BIM モデルを作成

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設計から施工まで一貫したBIMモデルの活用を実践した清水建設関東支店
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Revit Architecture で作成した事務所の BIM モデル

清水建設関東支店では、2008 年ごろから Autodesk Revit Architecture や Autodesk Revit Structure などくを活用した BIM への取り組みを始めました。現場での施工業務を長い間、担当してきた私は、設計や施工の枠にとらわれず、建設フェーズ全体の業務に BIM モデルを活用することにより、業務効率を改善することができました。

重要なことは、「やることを決めてから道具を選ぶ」のと、「道具を選んでからやることを決める」のでは異なるということです。後者は「やること」が「やれること」になってしまうのです。

したがってまずは「何をしたいか」を決めてから BIM ツールを選ぶことが重要であると思いますが、発注者や設計事務所から特定のツールの使用を求められる場合もありますので、決められたツールを使う必要が出てくることもあるでしょう。

関東支店では Revit シリーズを軸に、各種の構造設計ツールや設備設計ツールを組み合わせて使っています。その理由は、意匠設計だけでなく、施工の実務にも対応しやすく、AutoCAD など他の BIM 用ツールとの連携が取りやすいためです。

受注前の段階から竣工までの業務を一貫して BIM で進めていくのは今回のプロジェクトが初めてで、未知のことも多いため、今回は小規模な事務所ビルを対象として取り組みました。

従来の設計行為は「結果型」であり、承認行為は「スタンプラリー型」でしたが、BIM を活用してプロジェクトの最初から意匠、構造、設備の設計者や施工担当者などが一堂に集まり施工段階の問題を解決しながら設計を進めていく「造り込み型」設計とし、合意形成は「早期一括型」を目指しました。

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従来の「結果型設計」のワークフロー概念図

受注前の技術提案では、BIM の手法を使って分かりやすく、説得力のある資料をスピーディーに作成することを目指しました。建物の完成後のイメージを BIM で視覚化するとともに、建物の用途特性やコストに大きく影響する構造部材をモデル化し、受注前に施主が意思決定できるようにしました。受注を優位に進めることを可能にしたプロセスをご説明します。

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今回の「造り込み型設計」のワークフロー概念図

   意匠設計のスケッチから意匠、構造、設備をモデル化

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構造、設備のスケッチからそれぞれの BIM モデルを作成。受注前の段階でも基本設計の一部を行っている

意匠設計者がスケッチによって建物の意匠、構造、設備のイメージを作った後、BIM ツールによるモデル化を行いました。

 

 

 

 

 

 

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構造計算ツールで作成したデータを Revit Architecture に読み込み、構造を可視化した

これまで、意匠設計段階での BIM 活用はパースや CG の作成が主流でした。そこで今回は構造形式を BIM モデル化し概算コストの算出と連動させ、RC 造か S 造かをコストや用途に基づいて施主が検討できるようにしました。その際、仮定の構造設計を行って構造計算も行いました。

 

 

 

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構造形式の選定に使用した構造モデル。施主にも分かりやすく、意思決定もスムーズに

RC 造は長いスパンがとりにくいため、柱をところどころに立てる必要があります。構造計算ツールで作成した構造フレームの形状を専用ツールで変換し、Revit Architecture に取り込み、早期に構造部材の BIM モデルも作成しました。それを施主に見てもらったところ、室内空間はなるべく広くしたいという要望がありました。そこで RC 造の内側に S 造を組み込むという構造形式が決まりました。

 

   構造部材を事前に避ける「造り込み型設備設計」を実践

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構造モデルを「テンプレート」として、構造部材を避けるように設備モデルを設計した

構造形式が決まると、設備の BIM モデル作成にも着手しました。構造部材の BIM モデルと設備のスケッチを照らし合わせ、構造部材を避けるように設備の配置を決めていきます。

そこで構造計算ツールで検討したモデルデータを「テンプレート」として設備系 BIM ツールに読み込ませ、そのモデル上に配管や空調ダクトなどを配置していきました。こうすることで、構造モデルと設備モデルの空間的な干渉を事前に防ぐことができます。さらに、設備モデルを使って設備の数量計算も自動的に行うことができます。

従来のワークフローでは、施工段階に入ってから、意匠、構造、設備の図面を重ね合わせて総合図を作り、干渉部分を見つけて調整を行っていました。それが、「BIM 総合図」により、受注前の段階で解決できるようになりました。

今回のプロジェクトは、施工部門出身の私が主導的な立場で意匠、構造、設備の設計を進めました。その狙いは、設計内容を可視化した BIM モデルデータを施工者や協力会社とも共有し、施工時の問題をフロントローディングで解決できるように意識していた点でした。

 スピーディーかつ具体的なコスト比較を行った以上のような提案は、施主にもわかりやすく、受注につなげることができました。BIM の導入は単なる投資ではなく、最終的には建設業のビジネスで収益を上げていくことを目標としています。BIM の可視化力を生かし、施主にもわかりやすいプレゼンを行うことで受注を優位に進めることはその第一歩と言えます。

   フロントローディングで着工前に施工時の問題を解決

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別工事の設備の 3D データも合体させて干渉チェックを行うとともに、4D シミュレーションで施工手順などの総合調整も行えます

当社以外の会社が担当する別枠工事部分の 3D モデルも入手し、意匠、構造、設備のモデルと組み合わせて総合調整や確認を行えます。その作業方法は Revit Architecture の意匠モデル、Revit Structure の構造モデル、設備系モデル、そして別枠工事の 3D モデルを、Autodesk Navisworks に読み込んで 3 次元的に干渉チェックを行うというものでした。

着工前の段階にもかかわらず、施工手順を 4D シミュレーションで仮想的に再現することで、各部分の施工担当者との合意形成も図ることができました。事前にここまで調整できていると、施工時の設計変更や手直しはずっと少なくなります。これこそ、BIM ならではの可視化力を使った「フロントローディング」(業務の前倒し)効果でしょう。

次回に紹介しますが、この後の施工段階では設備施工会社は施工図の作成をせずに、現場での施工作業に専念することができました。近い将来には、設備部材をすべてプレハブ化して工場で製作し、現場では組み立てるだけという方法も可能になりそうです。

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